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養成講座「第2回 江戸の水文化さんぽ」開催報告

2011年6月3日

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橋本淳司さんの講座に引き続き、「打ち水大作戦2011 ECOスタディツアー・ツアーコミュニケーター養成講座」の第2回目が5月21日(土)に開催されました。日本水フォーラム事務局長の竹村公太郎さんを講師に迎え、江戸の水文化について考えながらさんぽした様子を報告します!
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"「有楽町で逢いましょう」"
「あなたと私の合い言葉 有楽町で逢いましょう」
これは、1957年にヒットしたフランク永井の名曲「有楽町で逢いましょう」の一節です。この曲からも分かるように、時代を超えて人々の待ち合わせの場所となっている有楽町から、人と水の歴史を解き明かすさんぽの旅に出かけました。

"東京の中心地 銀座の秘密"
20名の参加者は、竹村さんと一緒に東京の中心地、銀座に向かいます。東京の地形図を見ると、皇居の東側がとても低くなっている中、銀座だけすこし高台になっています。昔は皇居から銀座を見ると日比谷は海になっていたそうです。今でも、銀座中央通りから日比谷を見ると道路が少し下がっているのが見えます。
(日比谷の地名の由来は、「ひびがはいった谷」に海が侵入していた様子を表しているとのこと!)

"サラリーマンの街から都心のダムへ"
都心の大動脈ともいえる銀座中央通りを新橋に向かって歩きます。今ある首都高の下には昔、川が流れていて、その川に架かる橋を「新橋」と読んだことから地名となったそうです。その川は、東京オリンピックの際の埋め立てで姿を消してしまいましたが、よく探すと橋の面影が残っています。
続いて虎ノ門から溜池山王へ。この辺りには、江戸初期に作られたダムがありました。江戸時代に描かれた浮世絵からも分かりますが、地形を見ることでその名残を追うことができます。

"江戸城正門ってどこ?"
さんぽもクライマックスにさしかかったところで、山王祭の山車が保管されている日枝神社から半蔵門周辺へやってきました。ここは、地形の関係で水はけがよくぬかるむことがなく、今でいう警察が付近に常駐していた上、現在も皇室の方々が出入りに利用されているという真実を複合し、
「半蔵門が江戸城の正門である!」
という竹村さんの仮説が飛び出しました。地形を見るだけで歴史の新事実まで発見できるかもしれない可能性に、参加者のみなさんは驚きをかくせないまま、講座は劇的に終了しました。

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"竹村公太郎さんからのメッセージ「微小地形を楽しむ」"

5月の新緑の土曜日、ユースのみなさんと「江戸の水文化さんぽ」に出かけました。講師の私は、江戸の歴史を地形の視点から理解してもらう狙いを持っていました。それも大きな地形ではありません。普段は何気なく通り過ぎてしまっている微小な地形です。
1603年、徳川家康は江戸に幕府を開きました。その後、この江戸が東京になり、日本の中心として発展していきました。21世紀の今、私たちはこの近代都市・東京で過ごしています。その私たちは、400年前から昔の人々が創ってきた街の上に生きているのです。決して、私たちがここに勝手にいるのではなく、歴史の流れの上に生きていることを、地形を通して知ってもらいたかったのです。
現在の銀座通りができた理由も地形が教えてくれます。江戸で不足していた水をどうやって貯めたのかも地形が教えてくれます。赤坂の料亭街が、なぜ、あそこに並んでいるのか。赤坂の日枝神社が、なぜ、そこに位置しているのかも地形が関係しています。
新宿通りから江戸城の半蔵門は、なぜ、橋ではなく土手だったのか。この疑問は、歴史の大事件の忠臣蔵の謎を解いてくれます。このように地形を通して、歴史の探索の旅にみなさんをお誘いしました。
(日本水フォーラム事務局長 竹村公太郎 http://www.waterforum.jp/jpn/index.html

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"東京みずユースからのメッセージ"

本講座で学んだことはたくさんあったことと思います。私は本講座を通して「江戸時代の人々の水や水に関する文化などに対する思い」を感じ取ることができました。また、大都会東京の中で、「ちょっとした地形の変化から、江戸時代のことを感じ取れる」ことに驚きました。
近代化した都会の時間の早さの中で見過ごしてしまうことが、たくさんあると思います。しかし、よく見つめればみつけることが出来ると本講座を通じて思いました。ちょっと立ち止まって自分たちの周りを見つめ直すことが、自分たちのライフスタイルなどを考える始まりになるかもしれません。
(第2回講座担当 東京みずユース 門口光司 http://www.tokyomizuyouth.org/