打ち水大作戦本部のスタッフが、富山県南砺市商工会女性部の主催する「打ち水」最終研修会に講師として呼ばれました。講演会の様子と南砺市にある「円筒分水槽」見学の報告です。
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打ち水大作戦の広がり
~富山県南砺市「打ち水」最終研修会レポート~
富山県で、「打ち水大作戦」について、久しぶりに講演できる機会をいただきました。南砺市商工会女性部(部長:水口芳美さま)のお招きで、改めて「打ち水大作戦」の意義、「打ち水」の歴史・メカニズム、世界の水問題、私たちの生活と水のつながり、についてお話をさせていただきました。
南砺市は、市町村合併に伴い、これまで7つに分かれていた商工会が一つになったばかり。打ち水をすることで、新しいコミュニティの仲間たちも一つになれれば、という願いから今年8月1日~7日までの7日間、毎日朝夕の打ち水を行ったそうです。しかし、賛否両論、「水道水はご法度」のルールにも苦労されたとか。
本当は、もっと早い時期にお話させていただけたら良かったのですが、タイミングが合わず、事後の講演となりました。ですが、実際に打ち水をされたことがあるだけに、逆に「打ち水大作戦」について、非常に良く理解いただけたのではないかと思います。気温の測り方などについても、アドバイスさせていただきました。
南砺市内には、「円筒分水槽」が残されています。かつて、水は、近隣の村々の奪い合いの対象でした。飲み水はもちろん、農業に欠かせない水の確保は、人々の死活問題でした。争い相手の中には、小さいころのお友達もたくさんいたでしょう。日照りの年には、まさに血みどろの壮絶な争いがあったと言われています。それを解決したのが、この「円筒分水槽」でした。円筒型の分水槽に流れ込んだ水は、3方向へ自動的に、均等に分かれるよう設計されています。まさに水を分かち合うための施設です。
争いの果てに、私たちの先祖は、こうした、水を分かち合う技術を用いて、水の少ないときは、その苦しみも同様に分かち合うことを選択しました。こうした施設は、数は少ないですが、日本の各所でまだ実際に使われています。日本人の、水を分かつ「叡智」の象徴ともいえます。
水争いの経験と「円筒分水槽」を持つ南砺市だからこそ、コミュニティが一つになることの重要さを潜在的に感じておられるのかもしれません。「円筒分水槽」を見せていただいたとき、みんなで「打ち水大作戦」に取り組もうと発想された意図を理解できたような気がしました。
今回の企画をご担当された、藤田さんは来年で商工会を退職されるとのこと。「打ち水」のように、「人」と「人」をつなげる魅力を持った方なだけに、大変残念です。
棟方志功も愛した南砺市は、世界遺産である合掌造りの集落を擁する、観光のまちでもあります。おもてなしの現れでもある「打ち水」が、新たな風物詩として加わっていくことを願っています。
講演会の様子
見学した円筒分水槽
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「打ち水」最終研修会
日時: 平成22年9月27日(月)14:00~15:30
場所: いのくち椿館(富山県南砺市宮後188)
http://tsubakikan.city.nanto.toyama.jp/
主催: 南砺市商工会女性部
南砺市の観光情報 http://tabi-nanto.jp/
南砺市商工会 http://shokokai.group.nanto-e.com/
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市内の城端(じょうはな)は、某アニメの聖地でもあるそうです。
(浅井)
本講演会の様子は北日本新聞にも掲載されました。