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ECOスタディツアー「親子でたどる水の旅」開催報告

2010年8月31日

打ち水大作戦2010
ECO
スタディツアー「親子でたどる水の旅」実施報告

水の循環と大切な使い方を学ぶ5日間のECOスタディツアー「親子でたどる水の旅」が8月16日(月)~8月20日(金)の日程で開催されました。本ツアーは打ち水大作戦本部と日本水フォーラムのユース・ジュニアサポーター「東京みずユース」との共催で実施されました。

※「ECOスタディツアー~親子でたどる水の旅」は(財)河川環境管理財団の河川整備基金の助成を受けています。

ツアー日程

8月16日(月) 奥多摩小河内ダム見学(東京都西奥多摩)
“水道の水はどこからやってくるの?水の旅のはじまりを見てみよう!”
8月17日(火) 多摩川遊び(東京都世田谷区)
“川にはどんな生き物がいるの?水辺を探検しよう!”
8月18日(水) 千葉県農業体験(千葉県流山市)
“食べ物を作る水はどうなっているの?農業を営む人に聞いてみよう!”
8月19日(木) 落合水再生センター見学(東京都新宿区)
“いちど使った水はどうなるの?水がよみがえる方法について調べよう”
8月20日(金) 水の大切な使い方レクチャー+六本木ヒルズ打ち水大作戦参加
“水の大切な使い方を学び、いちど使った水で打ち水しよう!”

ECOスタディツアー「親子でたどる水の旅」内容詳細

16日(月) 奥多摩小河内ダム見学(東京都西奥多摩) 参加者11
“水道の水はどこからやってくるの?水の旅のはじまりを見てみよう!”

小河内ダムは昭和32年に完成し、主に東京都の渇水時などに備えた貯水ダムです。ダム塔ではジオラマ模型などを見て、奥多摩の水源林やまわりの自然の様子が分かりました。

ダム塔にてダム管理事務所の方にダムの歴史を聞く ダム湖の構造と水質・水量などについてのお話を聞く
水と緑のふれあい館で体験学習 ゆらゆら動くドラム缶橋からダムを一望
東京みずユース(TOMY)からのECOスタディツアーレポート byキヨ

<1日目>

ECOスタディツアー「親子でたどる水の旅」の1日目は、小河内ダム、そして奥多摩湖を見てきました。

奥多摩地区は二年ぶり、ダム見学は初でした!
窓から見える奥多摩の自然に癒されながら、バスは山の奥へと進み、
突如として大きな湖が現れました!!!

みなさん知っていたでしょうか??
小河内ダムからは夏、下流で水遊びができるよう配慮された暖かい水も流されていることを。
そのおかげで10度水温が暖かくなっているそうです。
人工降雨の設備があることを。
上空に雨雲があるときに限り、地上からある化学物質を燃焼させると
その一帯のみで少量の雨が降るそうです!

また、ダムの規模は想像をはるかに超え、ただただ圧倒されます。。。
“ダム好き”の方たちの気持ちがわかった気がします!
ついつい僕も、何枚も写真を撮ってしまいました♪

東京みずユースブログより http://tokyomizuyouth.blog.so-net.ne.jp/


17日(火) 多摩川遊び(東京都世田谷区) 参加者10
“川にはどんな生き物がいるの?水辺を探検しよう!”

砧本村付近の多摩川には下水再生水が流れているということですが、きれいな水が流れ、たくさんの生き物が住んでいました。川の水を浄化するツルヨシや石についたコケの役割、そして川の生き物の生態系について学びました。

せたがや水辺の学校中西さんについて、 いざ川の中へ がさがさと川の底を足で踏みながら網を動かします
捕まえた生き物の観察会。オイカワ、ギンブナ、マルタ、ウキゴリ、ヒゴリ、ムツゴ、ミナミヌマエビ、モクズガニ、ヤゴなどがとれました。 川原でバーベキューも
東京みずユース(TOMY)からのECOスタディツアーレポート byきむち

<2日目>

2日目は多摩川での川遊び(東京都世田谷区)。つまり、1日目に見学した小河内ダムからぐっと下った場所にあたります。

川辺に着いたら、さっそく探検。NPO「せたがや水辺の楽校」のスタッフの方に案内・指導していただきながら、川の浅瀬をじゃぶじゃぶ歩いて、水辺の生き物を探しました。

水草をつっついて、最初にたくさん見つけることができたのは、意外にも魚ではなくエビ! ミナミヌマエビです。わたしはこの日、たまたま『水に棲むものたちの物語』という本を読んでいて、淡水に棲むエビがいるのだということを知ったばかりだったので、「いきなり本物が見られるとは」とびっくりしました。たっっっくさんいるのね。

その後、皆の網捌きもだんだんと上達し、エビのほかにもカニ、ハゼ、ヤゴなど最終的には十数種の生き物を捕まえて、観察することができました。ことに、参加してくださったお子さんは水辺の生き物が大好きらしく、川に入ってから終始笑顔が絶えませんでした。わたしたちにとってもこよなき喜びです。

探検のあとは、河川敷の木陰でバーベキュー。一仕事(?)したあとにみんなで食べるご飯は、また格別ですね。トウモロコシが大好きでいくつも食べる人や実はアウトドアの達人と称される人、握り拳より大きいであろう塩むすびをおもむろに網で焼き出す人など、参加者のおかしな一面を見ることもできて、水や生き物以外の話にも花が咲きました。

多摩川の水は、上流では大都市を支える生活用水に姿を変え、下流では地域の人びとに憩いを提供し、また水辺の生き物には棲み処そのものを創り出してくれています。形はさまざまですが、水からの恵みがいかに深く広いかということの一端はわかったような気がしました。水はすごいなぁ。

東京みずユースブログより http://tokyomizuyouth.blog.so-net.ne.jp/


18日(水) 千葉県農業体験(千葉県流山市) 参加者10
“食べ物を作る水はどうなっているの?農業を営む人に聞いてみよう!”

自然農法で無農薬野菜を作る株式会社ECAの農場で、水と農業のお話を聞きました。土が汚れると水も汚れてしまう、だから無農薬栽培は水の浄化にもつながっています。

株式会社ECA代表小野内さんが農場を案内してくれました まずは雑草取りから
雑草をとったあとできゅうりの苗を植えました 夏野菜の収穫(空芯菜、ナス、オクラ、カボチャ、大葉、バジル、キュウリ、トマト) とれたて手を生でいただいてとてもおいしかったです。
東京みずユース(TOMY)からのECOスタディツアーレポート byいしぴー

<3日目>

8月18日は「親子でたどる水の旅」の3日目!
水と食べ物の関係を学ぶために千葉県流山市に農業体験に行きました。

今回の農業体験は「株式会社ECA」様にご協力いただくことで、実現することができました。
農薬、化学肥料を一切使わない自然農法で、日々美味しい野菜を一生懸命作ってくれている方々の会社です!

バスで水フォーラム事務所から流山の畑まで直行!
到着後、社長さんに話を伺いながら畑を案内してもらいました。
とても良い香りの大葉やバジル、スーパーではなかなかお目にかかれないようなとても太いきゅうり!などなどたくさんの野菜が畑で育てられていました。とれたてのきゅうりを食べさせてもらいましたが、すごいボリュームできゅうりだけでおなか一杯になってしまいそう。しかもすごくおいしい!!

畑を一通り案内してもらった後は、いよいよ実際に農業体験。きゅうりの定植作業をやらせてもらいました!
炎天下の中、とても暑かったのですが、パワフルな参加者の皆さんは太陽なんかに負けません!みんなで泥だらけになりながら楽しく、一生懸命きゅうりの定植ができました。おいしく育つといいなー。みんなで気持ちを込めて定植したから、きっと元気に育ってくれるはず!

一生懸命働いた後は、そうです、お待ちかねのお昼ご飯!
自分たちで持参したお弁当の他に、畑でとれたてのきゅうり、ミニトマトのアイコ、なす、おくらと大葉の和え物をいただきました。おくらと大葉の和え物、びっくりするくらいご飯との相性抜群!!ミニトマトのアイコも参加者に大人気!なぜアイコという名前かというと、愛子様が生まれた年にできたから、という説があるとかないとか。なすも生のお刺身でいただきました。とても新鮮な味だった!なすってなかなか生で食べませんよね?
とにかく、野菜がおいしいんです。そんな野菜が食べれることにただただ感謝です。

そして続いては収穫体験!3つのグループに分かれて夏野菜の収穫をさせてもらいました。自分は空心菜の収穫をしました。みなさん、空心菜をご存じですか?茎が空洞になっている野菜で、炒め物などによく使われます。栄養価も高く、とてもおいしいですよ!
最後に、収穫した野菜はお土産としていただくことができました。かぼちゃ、ハーブ、きゅうり、ピーマン、おくら、バジル、なす、空心菜など袋一杯の夏野菜を持って帰る時の気分といったら、もうルンルンです♪

以上、野菜でいっぱいのツアー3日目でした。参加していただいた皆さん、楽しいツアーだったでしょうか?
おいしい野菜が育つには水が必要。水がないと食べ物は作れません。さらに野菜を育ててくれる人がいなければ食べれません。頭ではわかっているけど、実際に自分で体験してみると感じることがたくさんあります。自分で動いてみるって大事ですね。
そして、自分の感じるおいしいって気持ちはたくさんの物や人に支えられているんだなーと。やはり、感謝です。

お世話になった「株式会社ECA」様の皆様、どうもありがとうございました!
ちなみに、「株式会社ECA」様の野菜は四谷にある「ECA自然野菜館」で買うことができるそうです。無農薬の美味しい野菜が食べたい方は一度足を運んでみてはいかがでしょうか!?

東京みずユースブログより http://tokyomizuyouth.blog.so-net.ne.jp/


19日(木) 落合水再生センター(東京都新宿区) 参加者10
“いちど使った水はどうなるの?水がよみがえる方法について調べよう”

落合水再生センターで一度使われた水がきれいになっていく過程を学習しました。高度な処理をされた下水再生水は、川に戻されたり、新宿副都心のビルのトイレ洗浄用水として再利用されたりします。 油や食べ物の残りを台所に流さないのが、下水をよりきれいに再生させるコツです。

センターの方に水再生センターについて詳しくうかがう 砂ろ過をした水と膜ろ過をした水の透明度を比較
間伐材をつかった打ち水木桶づくりに挑戦 下水再生水で打ち水大作戦 気温は34℃から31.9℃まで下がりました
東京みずユース(TOMY)からのECOスタディツアーレポート by啓明(けいめい)

<4日目>

本日は、8月19日に行われた、「落合水再生センター」見学の様子をお伝えします。
川の水や蛇口から出てくる水道水とは違い、普段あまり目にすることのない「下水」
今回はまさに「みえない水をみつめる」お話です。

「ECOスタディツアー親子でたどる水の旅」4日目のプログラムとして私達が見学した落合水再生センターは、東京都下水道局が管理する下水処理場です。
1964年から運転を開始したこの落合水再生センターは、中野区や新宿区など7の区から集められる生活排水などの下水を毎日約39万トン処理しています。また、雨天時には約2500立方メートルの水を貯水することが出来ます。

ここに集められてから処理された水は、水循環の一部として神田川に放流される他、城南三河川(渋谷川、古川、目黒川)の清流復活の為に放流されたり、再生水として新宿のビルにあるオフィスのトイレの水に使用されたりしています。
また、下水処理施設の屋上や周囲の敷地を公園として整備し、その噴水やせせらぎに再生水を供給することにより、地域住民に愛され親しまれる水再生センターに向けた様々な取り組みを行っています。

ここで皆さんに、「下水道の役割」と「下水処理の仕組み」についてご説明します。

「下水道の役割」それは、主に3つあります。
快適な生活環境を確保すること、浸水から街を守ること、そして地球環境を守ることです。

私達が排出した汚水がそのままだったら、困りますね… 悪臭や病気の原因である排水を処理する下水道は、私達の衛生的な生活環境の確保に欠かせない大切な設備です。

雨が降った際の雨水は、街の排水溝から下水道へと流され、水再生センターに送られます。下水道は大雨による街の浸水を防ぎ、私達の生活を守ります。

下水道は、家庭から出た生活排水や、工場から出た産業排水を処理し、水循環の一部として再び循環出来るように川に流します。
川から取水し、家庭や工場で使った水を再び川へ戻さなければ、川の流量が減ってしまいます。川の流量の減少は、全ての生き物にとって深刻な環境問題です。
川から海へと流れ、そして雲から雨になって私達に届く水資源を使用し続ける為には、一度使った水資源をきれいに処理し、再び補充する下水道が必要です。

次に、落合水再生センターでの下水処理の仕組みをご説明します。

落合水再生センターでは、第一沈殿池(だいいちちんでんち)、反応槽(はんのうそう)、
第二沈殿池(だいにちんでんち)、高度処理 の順番に、4段階の作業で下水を処理しています。

第一沈殿池では、2~3時間かけて下水をゆっくり流して、下水に含まれる汚れを沈殿させます。「沈殿」とは、汚れを沈めるという作業です。

反応槽では、第一沈殿池を出た下水に、空気と微生物の入った泥(活性汚泥)を加え、6~8時間かけてかき混ぜます。微生物が下水の汚れを分解し、下水に含まれていた汚れが塊になります。

第二沈殿池では、反応槽で出来た汚れと微生物の塊を3~4時間かけて沈殿させ、処理水と汚泥に分離します。

最後に、処理水を厚い砂の層を通過させる「砂ろ過」や、「水処理膜」を通して更にろ過させる高度処理を施します。

以上が、落合再生水センターにおける下水処理の簡単な紹介です。処理方法は処理施設により多少異なります。

少々長くなりましたが、以上が落合水再生センター見学を通じて私達が学んだ事です。
下水道には、熱利用や汚泥のリサイクルといった発展の可能性があると共に、設備の老朽化などの課題もあります。私達の暮らしに必要不可欠で、とても身近であるにも関わらず、普段特に気にしていない「私達が出す水」とその先の下水道にももっと注意を向けるべきであると考えさせられました。

皆さんにも、是非とも近くの下水処理場で、ご自分の目で下水処理の様子を見ていただき、下水を排出する当事者として下水処理の問題について考えていただきたいと思います。

東京みずユースブログより http://tokyomizuyouth.blog.so-net.ne.jp/


20日(金) 水の大切な使い方レクチャー+六本木ヒルズ打ち水大作戦参加(東京都港区) 参加者17人

“水の大切な使い方を学び、いちど使った水で打ち水をしよう!”

竹村作戦本部長から「水は命」というテーマで、モナリザの絵の秘密や、日本人の寿命のなぞ、そして私たち日本人が海外の水をたくさん使っているというバーチャルウォーターについてのお話がありました。そして地球上の水の貴重さを知るための節水クイズでは全問正解者も!みんなで参加した六本木ヒルズ打ち水大作戦では、30.8℃から30.1℃まで温度が下がりました。

作戦本部長のお話。「水は命」だということが良く分かりました。 5日間全ての水の旅に参加したゆうきくんに修了証授与
六本木ヒルズ打ち水大作戦では敷地内の地下水が使われました 5日間の水の旅が終了し、みんなで記念撮影
打ち水大作戦本部からのECOスタディツアーレポート

<5日目>

ECOスタディツアー「親子でたどる水の旅」がとうとう最終日を迎えました。これまで、小河内ダム、多摩川、農場、水再生センターと水の旅をたどってきて、水がどこから流れてきてどこに流れていくのかを楽しく学んできました。

そこで、最終日はそのように循環している水の貴重さをもう一度おさらいすることを目的に、打ち水大作戦本部の竹村作戦本部長から「水は命」というテーマでレクチャーしていただきました。

まずスライドに写しだされたのは、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」。モナリザの後ろを流れる川はいったいどちらに向かって流れているのかといった謎解きからはじまり、日本人の寿命の長さに隠された水道施設普及の背景、豊かになった日本が外国から輸入する商品・食品などにはたくさんの水が使われていること、そしてそれは世界各地での大規模な旱魃の原因にもなっていることなど、私たちが普段気づきにくい水と日本人の関係について学びました。

また、日本が公害を乗り越え、きれいな川を復元してきた歴史を、たくさんの写真とデータを使って分かりやすく解説していただきました。一度きれいになった川や池をこれからもずっときれいに保ち続けるのが私たちの役割だと実感しました。

つづいて、来場者全員参加の節水クイズ。

地球上の面積は約70%が水に覆われているけれど、飲むことができるは全体の0.01%しかないこと、4人家族が1年に使う水は学校のプール1杯分(約450㎥)にもなること、家庭の中では意外にもトイレに多くの水が使われること、一度使われた水は処理して再利用されること、など地球上の水の貴重さをもう一度考えるきっかけとなる問題が出題されました。全問正解者も多数!みなさん日ごろから水の大切さを意識しているようです。

そして、六本木ヒルズ打ち水大作戦会場へ移動。会場には一般参加者が200人集まり、用意された井戸水は800リットル。カウントダウンに合わせていっせいに打ち水をすると、会場の気温は、30.8℃から30.1℃まで下がりました。

5日間にわたる水の旅を通して、私たちが飲み水や食物を手にいれること、川の生き物の生態系が守られることには、さまざまな水管理施設の方々の努力があることを知りました。そして、私たち1人1人が生活の中で水を大切に利用することの必要性を、実感することができました。

お問い合わせ:
打ち水大作戦本部(日本水フォーラム内)
〒103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町5-4 アライズ第2ビル6階
TEL:03-5645-8045 FAX:03-5645-8041 担当:松村、浅井