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打ち水大作戦本部NEWS

打ち水大作戦創世記

2018年5月31日

2003年に壮大な社会実験として始まった打ち水大作戦。計画は白紙。予算はゼロ。猶予はたったの2ヶ月。そんなハジマリから第一回目の大成功までの、波乱万丈なストーリー。

※この文章は、大江戸打ち水大作戦本部「大江戸打ち水大作戦 2003-2004公式ガイドブック」の文章を抜粋、改編したものです。

作戦司令は「江戸の知恵に学べ」

地球温暖化が原因で、問題視されている都心部におけるヒートアイランド現象。しかし、国土交通省の研究機関である土木研究所によると東京都区内で散水可能とされる範囲に、1平方メートルあたり1リットルの水を散水すれば気温を2℃下げることができる。その試算を実際に実験できたら面白いよね、という話が始まりだった。

国土交通省河川環境課の岡山課長。国交省OBで第三回世界水フォーラム事務局の尾田事務局長。渋谷川ルネッサンス立ち上げ者であり、数々のNPOとのネットワークをもつ i の3人により、事実上、この大作戦はスタートした。

大江戸打ち水「広報PR」大作戦

2004_0818大江戸温泉打ち水0001

しかし、その話で盛り上がったのは6月の末。準備期間がわずかなため、できるだけ実施日は遅らせたかったこと。お盆明けの東京に人が戻ってくる時期を狙ったこと。過去の気象データによると8月下旬が猛暑のピークであること、そしてお昼休みを使って職場でも取り組んで欲しかったこと。たくさんの願いを込めて、Xデーは8月25日(月)の正午に決定した。

準備期間は2ヶ月。計画は白紙、予算はゼロ。でも、面白いからぜひやろう。そんな志とノリだけで始まったこの取り組みの正式名称は、2003年が江戸開府400年記念の年であることから「大江戸打ち水大作戦」に決まった。

打ち水大作戦の実態は、「広報PR」大作戦。何よりも予算に合わせてメディアプランを立て、表現物を作らないといけない。そして、その原資を提供してくれる協賛社集めはもっとも大切な仕事。

しかし、特に役割分担を決めたわけでもないのに、餅は餅屋の塩梅で、制作部隊、営業部隊、パブリシティ舞台がそれぞれ自然発生的に機能し、アメーバのような運動体として大作戦は一人歩きを始めた。

「若い」という特徴だけを共通項に集まった「打ち水若人隊」。ウェブサイトとケータイを連動させた気軽に参加登録してもらう「呼び水人大作戦」。

一般からのレスポンスが増える中、メディアに注目され開催されたデモンストレーションはまさかの冷たい小雨混じり。新聞では「打ち水に冷や水」と報じられるものの、打ち水若人隊に引っ張られるようにヒートアップした作戦本部はもう、止められない。

news03その日、この夏いちばんの太陽が来た!

2003年の夏は冷夏だった。連日雨が続き、これまでの夏の暑さが嘘のような日々。Xデーである8月25日の天気も、思わしくなかった。
水面下では、大作戦の結構を最悪来年まで持ち越す可能性も検討されていた。

しかし、8月25日当日。日の出前から広がる青い空。降水確率0%。東京都心の予想最高気温は33℃。嘘のような天気の大逆転の中、打ち水大作戦の快進撃はまだまだ止まらない。

若人隊によるテレビの生放送番組での作戦決行を皮切りに、テレビでラジオで、続々と打ち水大作戦への参加が呼びかけられる。暑い1日を印象付けるうってつけのネタ。NHKのお昼前の天気予報では、打ち水のメカニズムを解説してくれるナイスアシスト。

最高の真夏の太陽が、最高の呼び水に変わる、「打ち水日和」・・・そんな、ありそうでなかった新しい日本語が頭に浮かんでくる。

34万人が参加、気温は明らかに1℃低下!

正午。待ちに待った打ち水の開始。
カラカラに乾いた喉にビールがうれしいように、水を打ち付ける度地面が、路面が、喜んでいるように見える。もちろんおけや柄杓を手に汗を流す人々の顔も涼しそう。

数十分後、水浸しになった商店街の道路の上ににわかに「涼」が立ち込める。あちこちから上がる、「涼しい!」の驚きの声。

わずか一時間の夏祭りを終えた作戦本部の面々は、気温の変化の調査結果を気にしながら、もう一つの調査、打ち水の参加人数の計測に取り掛かる。無作為抽出で番号を選び、電話による突撃調査。その確率から総参加人数を割り出すことに。その結果、東京の世帯数をどう少なく200301見積もっても、34万人はくだらないという推計に。

予測を一桁上回る数字に、公式に発表するべきか戸惑う本部に、夕方のテレビのニュースがそのスケールの確かさを裏付ける。

「アメダスをご覧ください。東京の気温は明らかに下がっています・・・」

約1℃の温度低減効果が観測された。最初の大江戸打ち水大作戦は大成功。
おめでとう。ありがとう。来年以降がまた楽しみだ。ああ、次の夏休みが待ち遠しい!

※原文で楽しみたい方は「大江戸打ち水大作戦 2003-2004公式ガイドブック(pdf)」をご覧ください。